注※いよが5D's版アカデミアの生徒として登場。オリキャラ苦手な人は要注意。
遊龍亞になるかと思ったら龍亞アイドルというか総受けというかになったような。ノリはアニメっぽいかなという小説。





We Love Him!





「ん? あれは」
 ある日の休日。今日も今日とて店をクビにされたジャックは別段気にする様子もなくシティの中を歩き回っていた。するとある公園の噴水の前で、一人ぽつんと立っている龍亞を発見した。

「ふん。妹とはぐれて一人迷子にでもなったか」
 龍亞はいつでも龍可と一緒にいるわけじゃないとか色々とツッコみたいことはたくさんあるが、ジャックに他者の一般論は通用しない。仕方のない奴だと迷子回収するついでに厭味の一つでも言ってやろうと、キョロキョロと辺りを見回している龍亞の元へと歩み寄ろうとする。しかし、

「お……」
 おい、とジャックの口から出ようとした言葉は、空気に溶けて音となることはなかった。龍亞の視線が一点を見つめたと同時に明るくなり、おーいと手を振り始めたからだ。だが龍亞が手を振ったのは勿論ジャックではない。いやそれどころか、龍可でも、遊星でも、クロウでもアキでも、ジャックの知っている人物ですらなかった。


「おーいいよー! こっちこっちー!」
「お待たせ〜遅れちゃってごめんね〜」
 龍亞の視線の先から、いよと呼ばれた可愛らしい服を着た可愛らしい女の子が、とっことことこと駆け寄ってきたからだ。これでも、急いでいる駆け音だ。そのまま龍亞の前で膝を付いて息を整えると、ごめんねともう一回謝る。

「ちょっと、家出るときに色々とあって」
「気にしなくていいよ。ほら、まだ時間来てないじゃん」
「だう。龍亞君凄く早く来たんだ」
「凄くって訳じゃないよ。じゃあほら、行こ」
「うん!」
 にか。にぱぁ。お互いに笑顔になったと思ったら、そのまま公園を後にする。残ったジャックはというと、脳内で赤き龍が扇子を持って奉納の舞を踊りその周りをぐるりと囲んでミニチュアサイズのレッド・デーモンズ・ドラゴンが盆踊りでぐるぐる回っているという……まぁ要するに、真っ白けになって硬直していた。


「なん……だと」
 あのガキ、いつの間に彼女なんか作ってやがった。そんな素振りは一つも見受けられなかったぞ。勝手にいよのことを龍亞の彼女と決めつけているジャックは、何というかこう、まったく余裕がない顔を浮かべている。

「……こうしちゃおれん」
 奴がどんな子にオトされたか、確認しなくては。何故オトされたのが龍亞前提なのかなんて聞いてはいけない。それ以外の選択肢は考えもしていないからだ。
 こうしてお前は姑かと言いたくなるようなデバガメ思考を抱いたジャックは、気づかれないように距離を保ちつつ、二人の後を付けるのであった。




 所変わって。今日も今日とて依頼される修理の仕事を片づけながら新型D・ホイールの調整を行っていた遊星の元に、龍可と、アキが訪ねてきた。


「遊星。どう、順調?」
「いや……スパナの調子が悪くて、今日はあまりはかどっていないんだ」
「調子が悪いって……スパナって、柄がこんなに曲がっているものなの?」
「うっかり力が籠って、そんな風になってしまったんだ」
 長い間使っていたから、金属疲労かもしれない。また購入するつもりだ。ブーメランのようにV字型になったスパナを見た後黙々とパソコンへと向かっている遊星に、そういえば、とそのスパナを手に取って見つめていた龍可が、徐に口を開く。

「遊星。龍亞がここに来なかった? 今日は用事があるって言ってたんだけど、詳しいこと何にも言わずに出てっちゃったから」
 天ちゃんも、パティもボブも知らないっていうし。てっきり遊星のところに来てるんだと思ったのにと呟く龍可の顔は心配で曇っている。なんというか、龍亞はしっかりとした妹に恵まれていると思える。ちなみにアキは、そんな龍可と偶然会って一緒に行動することに決めたらしい。

「あぁ。……二時間程前に、来た」
「え、本当。じゃあ、用事って遊星に会うことだったの?」
「いや。この後用事があると言っていた。なんでも女の子と待ち合わせをしていると」

 女の子と待ち合わせをしていると。何でもないことのように発した遊星の言葉が二人の頭の中にしみ込む。そして、


 ……ボギンッ!


 聞きなれない音に視線を動かすと、そこにはV字から二つに分かたれてしまった……完全に折れて二つになったスパナ。そのスパナを握っていた龍可からは、抑えることの出来ないオーラがゴゴゴゴゴ……というBGM付きで見えてくるようだ。今ならエンシェント・フェアリーとかレグルスとかが実体化させられるに違いない。
 その傍らにいるアキは、髪飾りにしてはかなり大きいドリルが今にも落ちそうになっている。今にもブラック・ローズを実体化させんばかりの勢いだ。闘いの風モドキの地響きがしてきたので、遊星は速やかにパソコンのデータをUSBに移して電源を落とした。これ以上ないほど迅速な処置といえるだろう。

 だが、百の人間位簡単にちびり上げられそうなオーラを噴出している二人も、その表情は一致しているところが多い。そこに秘められた感情は……戸惑い、だろう。

 休日に、女の子と、内緒の待ち合わせ。でもって、(これはまだジャックしか知らないけど)互いのことを名前で呼び合う仲の良さ。
 大抵の人間は、それがデートを意味すると考える。ジャックも彼女達も、その類からは外れなかった。それはつまり、今までガキ(子供)だと思っていた可愛子ちゃんが知らない内に男の子の階段を上がっていたという感じだろうか。しかも龍可に至っては一番身近にいたのに龍亞がそんな素振りを見せていたのかさえも、まったくもって気が付かなかったのだ。ショックが大きくても、ある意味仕方のないこと。

 そして彼女達の思考は、ジャックとまったく同じ方向へと向かっていく。


……“私の大事な龍亞に大人の階段上らせようとしているのは、どんな奴なの!?”……



「遊星。ごめん、用事が出来たからもう行くね」
「? あぁ」
 鷹のように……鷹さえも逃げ出すような鋭い眼をした二人が出て行くのを見届けた遊星は、またパソコンを起動させるのだった。

「……スパナ、早目に購入した方がよさそうだな」
 今度はもっと、丈夫なものを買った方がいいかもしれない。呟く遊星の言葉は、幸か不幸か誰にも聞かれることはなかったということだ。



「ありがとう龍亞君! 本当にありがとう!」
「いいっていいって。そんな御礼言われたらオレ恥ずかしくなっちゃうよ」
 待ち合わせ場所とはまた別のベンチに腰掛けている龍亞といよは、さっきからずーっとこの会話を繰り返している。アクセサリーショップとか、カードショップとか本屋とか、色んなところを回ってようやく購入したプレゼントは、綺麗にラッピングされていよの手の中に収まっている。ぎゅ、とそのプレゼントを抱きしめて笑ういよの顔はほんのりと紅を差していて、本当に喜んでいるというのがよく分かる。


「へぇ〜、本当に龍亞の奴彼女作ってたんだな」
「認めん認めん認めん奴に彼女など絶対に認めん」
 そんな彼等をちょっと離れた所から伺い見ている者二人。ジャックとクロウ。どうやらクロウは配達が終わって帰ろうとしていたところ龍亞達の後を付けるジャックと合流したらしい。彼曰く隠れていたジャックの肩を叩いた所とっても愉快な表情を浮かべたらしいが……その旨は今は言わないこととしよう。
 ブツブツと呪いの言葉を吐き続けるジャックになんでそんな拗ねてんだよと言うと誰が拗ねるかと龍亞達に気づかれそうになる大きな声が返ってきそうになり慌てて口を塞いだ。まぁそんなことしなくても、龍亞達はまぁーったく気づく様子はなかったが。


「そんでね。本当に遊星ってカッコいいんだよ。ほら、いよも前見ただろ?」
「覚えてるよ! あの時の蟹さんだよね」
「いや、蟹さんって。確かに髪型はそうかもしれないけど」
「すっごく強かったの〜。本当に助かったの〜。蟹さんが来てくれなかったらきっとパパが教頭先生をえぶぶぶ
「? なんか言った?」
「う、うぅん。なんでもないの。そういえば、蟹さんはライディングデュエルもするんだよね」
「そう! 半年後のWRGPに出るために、今新しいD・ホイールも作ってるんだ」
「D・ホイールって、デュエル出来るバイクみたいなものだよね……龍亞君、本当に蟹さんのファンなんだね」
「うん……えーと、いよ。さっきのは、その」
「いいのよぅ。この日の為にお小遣いいっぱい貯めてたもん。ちゃんと買えてよかったじゃない」
「で、でもさぁ……」
「だから、いつか山畑養蜂店の蜂蜜アイス奢ってね」
「え、それってこの間新しく出来たっていう」
「蜂蜜専門の直売店なのよ〜v 手作りアイスはダブルで600円もするんだよ」
「え゛ぇ〜高っ! オレもう手持ちないよ〜」
「だから、いつかでいいのよぅ?」
「いよ〜」
「えぷぷぷぷっv」
 遊星中心の話になっていく龍亞と、マイワールド全開で話に付いていくいよ。龍亞が顔を赤らめたり青ざめさせたりするのを、面白そうに楽しそうに見つめて笑っている。


 そしてそんな二人の様子をジャック達とは正反対の方向からまた伺っている者達が二人。

「あの子、侑器いよちゃん?」
「知り合い?」
「知り合いというか、同じクラスの子。龍亞よりは強いんだけど、テーマデッキによって勝ち負けが凄く揺れるからどれ位の実力なのかは分からない。……でも、殆ど話したことなかったはずだけど」
 そんな二人がいったい、何時の間に出かけるような約束をしたのだろう。不思議そうに見つめながら考えるが、納得のいく答えは出てきそうになかった。


 ちなみに彼等、彼女達の位置からでは、龍亞達の様子を見ることは出来るが会話を聞くことは叶わない。だから余計に、どんな事を話しているのか妄想が働いたり、気になってしまう。




 そんな時、事態は急激に、終幕に向けて加速を始める。




「そこのボクとお嬢ちゃん? こんなところでなぁ〜にしてんのかなぁ?」
「ばぁ〜かデートに決まってんだろ。かっ、最近の子供は進んでるねぇ〜」
「中々高そうな服を着てますねぇ〜。君達金持ってんでしょ? ちょっとお兄ちゃん達に分けてくれないかなぁ? デュエルしすぎて延滞料ヤベーんだよね」

 龍亞達の元へ……見るからに下っ端というかなんというかのヤンキー’Sが絡んできたのである。皆その腕にはレンタル用デュエルディスクを身に付けている。シティとサテライトが繋がってライディングデュエル用の設備が充実するのと共に、普通のデュエルへのサービス業もかなり盛んとなり、今では街のあちこちにリーズナブルな値段でレンタル用デュエルディスクの店が展開されている。延滞料と言っている所をみると、散々遊んで料金はそこらの奴からかっぱろうと思っていたのかもしれない。

 だう? と不思議そうな顔を浮かべているいよの前に、警戒している龍亞が腕を出して守ろうとする。おいおいナイト気分ですかぁ〜? とまた男達が聞いて心地のよくはならない笑い声を出して龍亞の感情を刺激するが、ぐっと我慢して、いよの手を取る。

「いよ、行こう」
「? うん」
「おぉ〜っと、どこに行くのかなぁ」
 通せんぼ、と囲むようにして道を塞ぐ男達に、内心舌打ちする。強行突破するには無理があるし、走っても足のリーチで不利だろう。……どうしようか。
 一生懸命考えている龍亞をじっと見つめるいよは、ポケットに入れている携帯から助けを呼ぶかどうかを考えていた。彼女の携帯は防犯ブザー付きで、ブザーそのものの効力は期待出来ないが家族に緊急事態を知らせることは出来る。

「(……えう)」
 だが、彼女はこっそりポケットへと入れた手を、また出した。……何故か、危機感を感じなかったからだ。いや一応最初の方は感じていたが、今はそう思わない。思っていない。


 ……“大丈夫”が、来る。そんな気がした。
 そしてその勘は、見事に的中することとなる。


「見苦しい。自分よりも小さい子供にたかって、恥ずかしいとは思わんのか」
「そーだそーだ。金ってのは自分で働いて稼いで払うのが一番なんだよ」

 龍亞達を囲んだ男達に向かって、ジャックとクロウが喧嘩腰に声を掛けてきた。途端、龍亞の目が驚愕に染まり、男達は見事その挑発に乗ってしまう。


「あぁんだぁてめぇら! 人が話してるときに横槍入れるたぁいい度胸してんなぁ!?」
「おい待て何ださっきの言葉は。俺に対する嫌味か」
「んん? まぁあぁいう風に堕ちたくなかったらお前も一生懸命仕事探せよ」
「ジャック、クロウ! 何で二人がここに!?」
「通りすがっただけだ!」
 龍亞の質問に腹の底から空気砲の様に飛び出した言葉は、少々焦りの色が垣間見えた。素直に言うのは少々恥ずかしいので、クロウもそこはあえてツッコまないことにした。だう? と突然出てきた二人に不思議そうな顔で首を傾げたいよは、龍亞君、と肩をつんつんする。

「お知り合い?」
「え。あーうん。知り合いというよりは……お友達?」
「俺がいつ貴様と友情などというもので繋がれた!」
「ジャック。照れるな。いいじゃん友達で」
「そうだそうだー!」
「やかましいっ! それより貴様ら、デュエルをするようだな。ここは一つこの俺が遊んでやろうじゃないかっ!」
「あ゛ぁ!? 何こいつ。いきなり出てきてデュエルしろってぇ?」
「おっと。ジャックがするなら俺も参加させてもらうぜ? ま、そっちがビビってデュエル出来ねぇってんならしゃーねーけど?」
「何だとぉ!? 上等じゃねぇか!」
「調子こいといて吠え面かくなよっ!?」
 クロウの見事な挑発に乗って前へと出てくる男達に、ジャックとクロウはお前らそれどこから出したとツッコみたくなるデュエルディスクを起動させる。すると、いきなりすぎて茫然としている龍亞の手を、誰かが掴んで走り出した。


「もうっ折角ジャックとクロウが気を引きつけてくれたんだから、ちゃんと気がつかないと駄目じゃない」
「る、龍可!?」
「あぅ? 龍可ちゃん?」
「とにかく、今はあいつらの目に届かなくなるまで走るわよ」
「アキ姉ちゃんも! どうしてここに!?」
「帰るのが遅いから探しに来てたの!」
「……私はその付き添い」
「だう? だう?」
「あぁ、えーっと……アキ姉ちゃん。ほら、高等部で。この間の退学騒動の時会っただろ」
「だう〜」
 納得したような表情のいよの手を、離さないようにギュッと握る。それを見た龍可とアキの顔に少々複雑そうな感情が浮かんだが、すぐに消えて走り続けた。



「あ。龍亞君。ここでいいの」
 ずっと走り続けていると、突然いよが呑気なストップをかける。どうやらここはいよが帰るときによく使うバス停らしい。向こうの信号の先に、こちらへと向かってくるバスも見える。

「今日はありがとね。すっごく楽しかったし、ありがとね」
「そんなぁ。こっちこそだよ。オレでよければまた言ってよ」
「うん。蜂蜜アイスのことちゃんと覚えとくからね」
「うぐっ……わ、分かったよ」
 手を握ったままふりふりと動かすいよと、苦笑で答える龍亞。バスが来てドアが開くと、その手をパッと離して乗り込む。

「じゃあね、龍亞君。本当にありがとう。龍可ちゃんとアキ姉ちゃんさん、また学校でね」
「え、えぇ」
「またね」
「バーイバーイ!」
 えう〜vといよが手を振るとバスの扉が閉じ、そのまま龍亞達の元から走り去って行った。バスが見えなくなるまで手を振っていた龍亞は、さーてと、と龍可達の方へと振り返る。と、そこで龍亞は初めて、彼女達が説明を求める眼でこちらを見つめていることに気付いた。


「龍亞。貴方いつあの子と仲良くなったの?」
「私が気がつかなかったなんて……こういうちゃっかりはいらないわよ」
「へ?」
 何を言っているのか分からない様子の龍亞に、龍可はごまかさないでと詰め寄る。その表情は怒っているというより、拗ねているという方が正しいのだろう。そうこうしている内に、ジャックとクロウも合流した。相手の男達は……あの公園で無様にのびているか、もっと行けば牛尾の元に送られたと考えとけばいいだろう。


「でもよ〜龍亞。おめぇも立派な男になったな。あんな可愛い子どうやってオトしたんだよ」
「へ?」
「ふん! このガキにそんな素質があるか。あっちがオトしたに決まっている」
「へ? へ?」
 何を言っているのか本当に分かってない様子の龍亞に、痺れを切らした龍可がもうっ! と腰に手を当てて怒る。


「いよちゃんとデートする位仲良しになったんなら、ちゃんと私達に……せめて私には教えてよね!」
 ぶく、と頬を膨らませる龍可。どういう表情を浮かべたらいいのか分からない様子のアキ。ニマニマ笑いのクロウ。不機嫌そうなジャック。そしてやっと、やっと皆の言いたかったことが理解出来た龍亞は、



「……へ?」
 やっぱり、意味が分からないという気持ちを込めた一文字を、こぼしたのであった。






 あははは。あはははははっ。


「も〜信じらんない! オレといよが恋人だなんてさ〜」
 ひーひーとお腹を抱えて笑い転げる龍亞の傍らで、クロウは苦笑を絶やさず、龍可・ジャック・アキの三人は恥ずかしそうに視線を逸らしている。それは彼等が遊星の元へと場所を移動した後龍亞から聞いた真相が、彼等の考えていたことからかーなーりずれていた為だ。


「いよには兄ちゃんがいてさ、今度誕生日だからってことでプレゼント贈ろうとしてたんだよ。だけど今年はもうアイデアが尽きちゃって、同じ兄ちゃんであるオレに相談しに来たってわけ」
 放課後。あまりに成績が悪かった為居残りで一人だけ補習デュエルをさせられていた時に声を掛けられ、上記のことを頼まれた。丁度その時は龍可も天兵達もいなかったから、彼女からすれば声が掛けやすかったらしい。


「話を聞いてたらよ〜く分かるんだけど、いよって凄まじいお兄ちゃんっ子でさ〜。同じ兄貴としてこう、放っとけない感じにさせられたっていうか」
 ちなみに何故名前で呼び合っているかというと、そっちの方が互いに気楽だったから。そんな理由で呼び合えるのだから、無意識に誤解を振りまいても仕方はない。


「だからさ。オレといよが手を繋いで一緒に歩いても、ぜーったいデートにはならないの!」
 だって……心の内に想い描く人物は、けしてお互いにはならないのだから。いよが想い描くのは、自分の兄。そして龍亞は……



「……って、ちょっと待って。そういえばオレ、遊星にはちゃんと詳しいこと全部言ってた筈だけど」
「「!?」」

 龍亞の言葉に、龍可とアキが過剰に反応する。ついでに、ジャックもくわぁっ! と目を見開いた。そのまま彼女達は、遊星の方へと詰め寄る。


「ちょ、ちょっと遊星! なんであの時最後まで言ってくれなかったの!?」
「あれ? やっぱり龍可遊星のところに来てたんだ」
「何も、て……言おうとしたら行ってしまったから、別に構わないかと」
「遊星! 貴様一人だけ真実を知っておきながら俺が動揺しているのを見て楽しんでおったなっ!?」
「楽しむも何も、そもそもお前が龍亞の後を追ってたことを「誰が追うか誰がっ!」」
「なぁーんだ。遊星ってば何にも言ってなかったんだね」
「そんなことはない。お前が女の子と待ち合わせしているというのはちゃんと言った」
「それだけじゃ誤解するだろっての」
「…………ハァ」


 夕日が暮れゆく一日の終わり。この騒がしいやり取りは、ゾラが乱入してくるまでずーっと続いていたということだ。


―END―
ブログで一年以上放置されていた小説をサルベージ。
侑器という名字を使いましたが、別に寿宇は10歳年上とかそんなことはありません。そうなったら寿宇の年齢は……んん、寿宇はアキさんと同じ位がベストだね。(誤魔化したっ!)
一応これ遊龍亞前提の龍亞総受けみたいな感じですが……難しいね総受けって。というより、ギャグが難しいのかな? んんー?

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

5D'sNOVELTOP  遊龍亞補完に続く
inserted by FC2 system