〜〜〜今の所、未だ遊→←?龍亞状態から変わっていません。遊星さん、ふぁいと!(※今回前後編です)〜〜〜










「龍亞、龍亞」
 ――――ん、ん?

「るあ……」
「……ぅ、あれ」


 目が覚めたオレは、冷たいコンクリートの壁や湿気た泥の上ではなく、滑らかなシーツに包まれた温かいベッドに横になっていた。



「起きたか、龍亞」
「……ゆう、せい?」
「ああ」

 目が覚めたオレに、遊星が優しく声を掛けてくれる。今朝と同じ様な光景で、でも決定的に、違う事があった。




「……ここ、遊星の」
「ああ。俺の、心の部屋だ」
「……みたい、だね」

 この半月の間、毎日のように通ってた、遊星と触れあえる、遊星の心の部屋。見上げた先に広がる満天の星々が輝く夜空は、目覚めたばかりの目にも優しい。ぎこちなくオレの頬に触れる、遊星の手と同じ位。ベッド脇で装置もないのに光っている裸電球の明かりが無ければ、体を包むシーツの柔らかさと温かさに、またすぐに眠ってしまいそうだった。



「……遊星。オレ、どんくらい寝てたの?」
「……」
「遊星? あ、そうだ思い出した。オレ決闘の最中に気を失って、その後一体どうなったの? やっぱり、あいつの勝ちで」
「いや……決闘は、あいつの負けだ」
「え? いやでも、オレあの時気絶して」





「決闘に負けたのはあいつだ。……正確に言えば、俺が倒した」



「……え」
 としか、返せなかった。いやきっと、返せた筈だ。その位遊星の話は予想外の驚きをオレに与えて……何とか理解する為に、ぼんやりとしていた意識が次々と覚醒させられていく。




「あの時。お前がアーマード・サイキッカーの直接攻撃を喰らう直前、俺は既に死んでいる事すら忘れてお前を守ろうとした。そしたら、お前の代わりに、お前の体を自由に動かせるようになった」
「ぇ、え?」
「信じられないだろうが、事実だ。俺だって何が起こったかすぐには分からなかった。だが実体化した攻撃が迫り来ている事に気付いて、反射的にD・スクランブルを発動させた」
「……ぁ」


 意識を失う直前に、感じた事、見たもの、聞いた言葉。それらが今遊星の話した事と繋がって、すとんと落ちる。どうしてそうなったのかなんて考えてもらちが明かない事ではあるけど、【遊星がオレの体を動かせた】と考えれば、あの不思議な感覚のすべてに説明が付く。




「……そっか。遊星が、助けてくれたんだ」
「信じて、くれるのか」
「今更不思議な事の一つや二つ増えたって、どうってこと無いよ。それに、遊星がオレに嘘吐く訳無いし」
「っ……ありがとう、龍亞」
「もお、ありがとうは、オレの台詞でしょ? ありがと遊星……それで、オレ一体どのくらい寝てたの?」
「……聞きたいか」
「そりゃ聞きたいよ。明日のトレーニングとプラクティスは、まぁ怪我の具合によって量や順番を変えればいいけど、それ以降のスケジュールに影響ある怪我かどうか確認しないといけないし」
「三日だ」
「そっか三日・・・え? みっ」



「お前をこの部屋に閉じ込めてから、外では三日経った」

「嘘!? オレ三日も寝ちゃうような大怪我を……、ん? え、待って遊星」


 今何か、他にも聞き逃しちゃ駄目な事言わなかった?



「どうした龍亞」
「……オレをこの部屋に、閉じ込めたって言わなかった?」
「……何の事だ」
「……遊星。オレ、もう起きたから外に出るね?」
「駄目だ」
「やっぱり言ってるじゃん!!」

 考えてみればおかしな事だったんだ。遊星がオレの体を使えたのなら、オレに体を返していればオレはそのまま病院なり自宅のベッドなりで目を覚ましていた筈だし、返していないなら遊星はオレの体を動かしてる訳だからここにいる筈が無い。今は寝ているからだとしても、オレの意識が戻ればそのまま体も起きていておかしくない筈だ。遊星が意図的にオレを閉じ込めでもしない限り、オレが現実の世界じゃなくてこの遊星の心の部屋で目が覚めるなんてある筈無かったんだ。うん確かに心だけだからか今全然どこも痛くないしね。ここに来て色々と気付きすぎというか、もうちょっと早く気付いても良かったよねオレ。



「……えっと遊星。なんで、オレを閉じ込めてるの? ていうかオレが寝ている間、オレの体は何処に行ったの? あーそうだうんまずそっちの方を先に聞いとかないと!! オレの体今どこにあるの? まさか決闘してた場所に放置はしてないよね!?」
「そんな事する訳無いだろう。……あの後決闘であいつを倒した後、警察と救急車に自分で電話を入れた。奴は決闘が終わると同時に逃げ出したが、体が重く追いかける事が出来なかった。だから外見の特徴やしきりに口走っていたプロの名前等を警察に細かく伝えて、救急車が来るまで待っていたんだが」

「だが?」
「……お前の体は、お前や俺が想像していた以上にダメージを負っていて、救急車が到着する前に俺の意識も追い出された……いや、気絶した、が正しいんだろうな」
「……てことは、オレの体は病院にある、って考えればいいんだね」

「ああ。お前が目を覚ました時きっと何があったか聞いてくるだろうと思ったから、ある程度回復した後お前の体を借りて、お前として話を聞いたりもした。医者や看護婦は勿論、警察の話も聞いておいた。……お前に決闘を挑んだ奴は、ファンとしての想いが強すぎて支持しているプロへのストーカー行為や、ネット上で度の過ぎた問題言動を繰り返していたそうだ」
「……マナーのなっていない、狂信的サポーターって事だね」
「ああ。だがそれだけでは、奴を逮捕するまでには至れなかったらしい。そこに今回の事が重なって……サイコパワーによるものとはいえ、決闘を通しての暴行と傷害で逮捕に至った。警察だけでなく、奴の支持していたらしいプロもやって来たが……その間はこの部屋に籠って、話はしていない。あと、龍可を始めとした仲間達も何人か見舞いに来てくれたが……」


「……うん。分かってる。皆にはいつものオレじゃないってバレちゃうだろうからね。そのプロとはオレが話をするし、龍可達にもちゃんと起きたよって安心させてあげないと。だから遊星、オレそろそろ起きるから」
「駄目だ。ここにいろ」
「…………」




 大人な対応を心掛けて、体に戻ろうとしたオレだったけど。残念かな遊星は引っかかってはくれなかった。

 うん。いやね、ちょっと最初に戻っちゃうけどね。もう一回、言わせてくれる?




「何で駄目なの!! てかなんでオレを閉じ込めてんの!? 話の流れ的に、オレ元の世界に戻って色々と事情を説明したり誤魔化したり安心させてあげないといけない訳だよね!?」
「そうだ。でも、駄目だ」
「だから何で駄目なの!! 駄目って言うならその理由を教えてよ!!」
「俺が、出したくないからだ」
「な」


 なに、それ。

 出したくないって……どういう、



「これが良くない事だという事位、俺だって分かってる」
「だが、それでもお前を、外に、出したくない。行かせたくない。俺の元から、離れさせたくないっ……」

 固まったオレの顔は、オレ自身が自覚している以上に強張っているのだろうか。遊星がオレの顔から目を逸らして、早口で、段々と切羽詰まっていく声でぼそぼそと喋る。それは生きてた頃と比べて、ずっと幼稚で、だだっこも同じで……オレの手をぎゅっと強く握って、まだ子供だった頃のオレが言う様な事を、オレよりもずっと大人だと思っていた遊星が喋っている。


「……離れ、ようがないじゃん。そうだよ。離れさせたくないって、行かせたくないって何? それが出来るとすれば、それは遊星の方だろ? オレからは、出来ない。出来ないよ」
 遊星の言ってる事の矛盾に、覚醒した意識がまたくらくらと覚束なくなる。遊星に取り憑かれて今のオレがいるのに、どうしてオレが遊星から離れるなんて事になるんだろう。遊星の未練が無くなって成仏したり、お祓いされたりしない限りそんな事不可能なのに。その不安を覚えるのは、遊星じゃなくてオレの筈なのに。




「そんな事無い」

 どうして、それが分からないの? 伝わらないの?




「お前は、毎日ずっと努力している。俺の知識と技術を吸収し、相手の決闘を通して、俺の決闘を通して、一歩ずつだろうと、確実に前に進んでいる……俺やジャックの様な、決闘者になる為に」
「そう、だよ……それが、いけないっていうの?」
「ジャックは、きっと楽しみに待っていると答えるだろう。俺も、楽しみだ。だが同時に、その時が来るのがどうしようもなく怖い」
「こわい、って」
「怖いんだ。俺はもう、死んでいるから。生きているジャックと違って、死者である俺はこれ以上成長する事が出来ないから」
「……っ!?」
「お前はちゃんと強くなっている。ちゃんと前に進み続けている。未練があってこの世に残りお前に取り憑いておきながら、俺はただひたすら、お前との距離が縮まっていくのを感じながら待ち続けて、いつかお前に追い越される日が来るのを黙って受け入れなければならない事に怯えている」



 決闘だけじゃなく、パソコンやD・ホイールのメンテナンスも、今は出来なくてもいずれ一人で出来るようになるだろう。そうなれば、もう俺がこの世に残っている事で龍亞に与えられるメリットは無くなる。


「そして決闘でも追い越されたら……もう、自分を見てはもらえなくなるかもしれないと、考えるだけで怖いんだ」



 ……なに、それ。何それ。分からない。分からないよ遊星。




「ゆ「それだけじゃない」」
 遊星がずっと隠していた気持ちを聞いて、それでも、分からなくて。何て言っていいのか分からずつい名前を呼びかけたオレに、偶然か、オレに何か言わせない様にする為か、遊星が言葉を被せてたたみかける。


「ここに閉じ込めておけば、お前は指輪を渡しに行けない」
「ぇ……は、はっ?」
「一度でも外に出してしまえば、きっともうお前を止める術は無くなってしまう。お前がオシャレの為に、しかもオーダーでアクセサリーを買った事なんてないからな。だとしたら、誰かに渡す為に買った物で、それが指輪で……お前がずっと、出来るのを楽しみに待っていたあの指輪を、お前が誰かに渡す所を、見たくない……!」

 ……。何、それ。何それ。どうしよう。
 遊星の、言ってる事が、理解出来ない。頭がぐらぐらしてぐるぐるして気持ち悪い。何か言わないといけないけど何から言えばいいのか分からない。遊星が一体、一体どうして、何で悩んでいるのか、分かりたいけど分からない……いや、違う、少なくとも一つだけ、分かりたくないけど気付いてしまった。遊星は、いやオレ達は、







「龍亞、好きだ」
 そう好き・・・は?



「お前が好きだ、龍亞」
 …………。


 は……





 はぁ!?





「ちょ、ちょ、ちょっと待って、ちょっと待て、待って」
「龍亞が、好きだ。だから、行かせたくない」
「ちょっと待てっつってんだろ!!」

 相手が遊星だという事も忘れて、ついチームメイトとかに使う様な言葉遣いが乱暴に飛び出る。でもオレは悪くないと思う。いきなり階段三段、どころか飛行機が離陸する位斜め上な事を言われて混乱するのは当然のことだ。その位衝撃的な事を、今遊星にさらっと放り込まれた。理解する為の時間を求めるのは、当然のことだろ?


「何でそうなったの!? ていうか何でそうなるの!! なんかもう色々とありすぎて訳分かんないよ!! とりあえず色々とお互い根っから考えがずれちゃってる事しか分かんないよ!!」
「ずれてない。お前を好きな気持ちは、勘違いじゃない!!」
「そこは別に否定してない!!」
「っ、じゃあ、この気持ちを受け止めて」
「いいからちょっと黙れ!! あぁもう本当に待って、いつもの遊星戻って来て!!」

 何だこの平行線。何だこの、絡まりに絡まりまくったカオスな状況。え、これオレのせい? 遊星の気持ちに気付いてあげられなかったオレのせいだとでも言いたい訳? それはちょっと、さっき(正確には三日前だっけ?)戦ってたあのサイコデュエリストを説得するより厄介だよ? 何なの神様あるいは赤き竜、オレそんな罰当たりな事してたの? にしてもペナルティー重すぎ、てか不平等過ぎると思うんだけど。



「……」
「る、龍亞」
「…………」

 ベッドから体を起こして、遊星の両肩を掴んで顔を落としたまま、どうすればこの状況を打開出来るかを考える。……いや、方法ならもう、見つかってる。オレと遊星にしか出来ない、禁断の裏技。だから、今オレがするべき事は、


「遊星、表に出るよ」
「っ、いやだ」
 回していいのか迷っていたらしい遊星の手が、オレを引きとめるように掴み。ついでに柔らかい毛布が足枷へと形を変えて、オレの足首に嵌められる。ここは遊星の心を反映させる部屋。前にオレも自分の心の部屋で雑誌に載ってた最新式のD・ホイールを出したりしてみた事があるから、その位は朝飯前に出来る。





 だけどオレは引かない。落としていた顔を上げて、まっすぐ、遊星を見る。手や首にも枷を嵌められ、全身がカチャカチャと煩く鳴っても、まっすぐ、遊星を見て伝え続ける。




「遊星。表に、出るよ」
「っ、っ」
「一緒に、出るよ」
「っ、い」
「やだじゃない。遊星の気持ちを、否定する気はない。けど誤解はちゃんと解かなくちゃ。でなきゃいつまで経ってもオレは遊星の気持ちを素直に聞けないし、遊星にもオレの声が届かない」
「……」


 押し黙る遊星の視線と、オレの視線が交わらない。……感情で訴えても届かない。なら、今オレが言える中で、今遊星が一番欲しい言葉を、考えて、考えれば……



「遊星。じゃあ一つだけ、表に出る前に聞いてくれる?」
「……」
「遊星。【オレはあの指輪を、誰にも贈るつもりはない】」
「……、え?」
「遊星の言う通り確かにあの指輪は特別で、ずっと完成するのを楽しみに待ってた。自分のオシャレに買った訳じゃないのも本当。けど、誰かに渡す為に作ってもらってもいない」
「じゃあ、一体どうして」
「……この先を聞きたいなら」


 分かるでしょ? そう口を閉じて細めたオレの目を、遊星が口を震わせながら見つめ――――どれ位の間そうしていたか。




 全身に嵌っていた鉄枷が、ふわりと毛布に戻って、ベッドに沈んだ。

















 久しぶりという感覚もないまま表に出たオレの体はまだ病院のベッドの中で、確かに結構な怪我を負っていて、体の節々が怪我と筋肉痛で小さく悲鳴をあげていた。遊星がオレを閉じ込めようとした原因の一つに、これも入ってたんじゃないかなと思う。


 とりあえずそんな状態なので、オレはベッド脇に置いたままだったあの日持ち歩いていたバッグから指輪を取り出して、寝転んだまま遊星を見上げながら説明する事にした。



「(この指輪にはね。遊星の遺骨が入ってるんだよ)」
『俺の、いこつ?』
「(そう。遊星が死んで、火葬場でね。骨壷に入れられなかった骨を、一つ貰って帰った奴)」


 鬼柳さんが遺灰と細かい遺骨を持ち帰った時、クロウに遺骨をアクセサリーに加工出来ると聞いて、オレも一つ持ち帰らせてもらった。

 大切な、大切な遊星の遺骨。そのまま持ち歩く事は出来ないけど、でも悪質な加工業者に任せる事も出来ないから、慎重に、納得の行く店を探した。砂時計、小さな位牌や仏壇、人工宝石、ペンダント、ブレスレット、色々考えた。でもやっぱり、いつでも場所を選ばず身に付けていられる物がいいと思った。だから、指輪を選んだ。




「(毎日付けるなら、防水がしっかりしてないととか。D・ホイールを運転している時も嵌めていられるには、シンプルな方がいいなとか。でもあまりにシンプルすぎると結婚指輪みたいだから文字も彫りたいなとか……仕事の合間に、そして気恥ずかしくて遊星にも内緒で全部の希望を通せる所探してたから、こんなに遅くなっちゃったけど)」




 オレはケースからやっと取り出せた指輪を、宙に浮いたままの遊星へと向ける。その指輪にしっかりと刻まれた……【Fudou Yuusei】の文字を見せる為に。





「(たとえいつか、遊星がこの世に未練が無くなって成仏したとしても……他の皆と同じ様に、遊星がいなくなった毎日を過ごす事になっても。この指輪が、オレと遊星を繋いでくれるように)」
「(そんな指輪を、他の誰かにあげるなんてありえない。他の誰にも渡したりしない。……オレが嘘を言ってないの、分かるでしょ?)」


 オレが体を動かしてる時、ていうか心の部屋から出れば、遊星にはオレの考えが全部お見通しになる。心の部屋では一向に噛み合わなかった平行線が簡単に交わり、遊星の不安を解消出来る。
 相変わらずオレが遊星の気持ちをお見通し出来ないのはまぁ不満だけど……この際、それは小さな事だ。遊星が勝手に膨らませてた、色んな勘違いに比べれば。



『龍亞……』

 オレは目を閉じて、ここ最近のyuuseiのネットデュエルを思い浮かべる。白熱したやり取り、緊迫の攻防戦、たたみかける猛攻、息つく間もない速攻、ハッとさせられるコンボ……全部全部、遊星がオレの前で、一番近くで見せてくれたもの。そして一番近くで見ていたからこそ、分かった事がある。





「(オレはまだまだ、遊星に追いつくのも追い越すのも、時間掛かりそうだよ)」

 それは、素直に言うにはちょっとひねってて、少しだけ意地や見栄を張った言葉。だけどその裏に込められた本当の言葉が分かる遊星には、それ以上優しくは言ってあげない。





『……そんな事』
「(あるよ。気付いてないのは、遊星だけさ。……で? えっと後は、何だったっけ)」
『龍亞』

 あえてとぼけて遊星にもう一度言わせちゃおうなんていう小さな意地悪をしてみた所で、その魂胆ごとバレてるんだもんね。誤魔化しは、効かないし聞かない。

 どこか緊張した渋い顔でじっと、穴開きそうな位遊星が見てくる……分かってる。でもオレは、



「(悪いけど、突然の事だからね。今はまだ、遊星の欲しい答えは出してあげないよ)」
『龍亞……』
「(でも、遊星がオレを手放す気が無いのなら)」


 手の中の指輪越しに、遊星を見る。幽霊となった遊星の魂を宿らせた時から、オレのやりたい事とやるべき事は、オレの体と命と一緒に、オレだけの物じゃなくなった。





「(遊星の想いがどうであれ……オレは絶対、逃げ出したりしないよ)」

 まぁ、大変な事には変わりないだろうけどね。


 蛍光灯にキラッと光る新品の指輪を指にピッタリ嵌めながら、ね? と、オレは今までで一番驚いたんじゃないかって顔でこっちを見てる遊星に、そう笑ってみせた。

―†††―
それ闇の二人や、王様と表君とは異なり、この二人の人格交代は龍亞に絶対的主導権がある為遊星が表に出る事は滅多に出来ない感じにしています。
遊星が龍亞に憑依合体(←)すると体に筋肉痛等の負担を掛ける事になります。加えて龍亞は一人で心の部屋に入れないので、前編の様に瞬間的に入れ変わるまでには何度か人格交代を経てになるんだろうなと思います。でも次第に、ちょっとずつ緩くなってくと思われます。

その為に必要なアイテムの一つとして、この話から登場した遊星の遺骨入り指輪は千年パズル的な役割を担います。この指輪を媒介にする事で体への負担も徐々に軽減されていったりしますが、千年パズル的役割なので後々他にも結束の力ならぬ絆パワーを起こします。

あと龍亞は結局遊星の告白に返事をしておりませんが、ラストで彼が指輪を嵌めたのは左の薬指です。けれど返事をしていないので、OKなのかどうかは龍亞のみぞ知る。


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