そこは、一目で夢だと分かる場所だった。
白くてふわふわした足場。眠る前酷く疲れて重かった体が軽くて、どうしてこんな所にいるのだろうと思うよりも早く、ここは夢の中なのだと分かった。
だからこそ、嫌だった。
「龍亞」
だからこそここで、君に逢いたくなかったのに。
力を抜いた体がゆっくりと水面へと浮かび上がる様に、夢から醒めた。
横を見やれば、一睡もしていないのだろうか。眠る前と変わらず、いや眠る前よりも蒼い顔をした龍可が顔を俯けて震えていた。背中を擦ろうと手を伸ばして気付く。オレの目から、ちょっと温かくてしょっぱい海水が流れてる。
「……」
龍可に気付かれない様に、オレはその無意味な雫を止めた。
嗚呼、やっぱりあれは、夢だった。