甘々10のお題③『ぶかぶかのシャツ』
某死神漫画より、一織
幸せに包まれて眠った夜。
陽だまりに包まれて目覚めた朝。
「……ん、ん〜っ」
ベッドの中で夢の世界から目覚めたあたしは、自分が裸でシーツにくるまっていることに気づく。
「ぁ」
どうして裸で寝ていたのかを思い出したら、顔がとっても赤くなる。
「……黒崎君」
隣では、あたしと同じように裸で寝ている黒崎君。昨日、あたしをいっぱい愛してくれた人。
「……〜〜っ」
眉間へ皺の寄っていない穏やかな寝顔。いつもは中々見られないその寝顔を見たら、嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちが余計に膨らんでいく。
「な、何か着なくちゃ」
とにかく、このまま裸でいるのは恥ずかしい。あたしは動かない腰をずりずりとベッドの縁へと動かして、ベッドの下に落ちた服へと腕を伸ばす。そして掴んだ服をよく見もしないままシーツの中へと入れると、もぞもぞと着替えを始める。
もぞもぞ。どうやら手に取ったのはシャツみたいだ。
もぞ、もぞ。あれ、なんか大きいな。
もぞ、もぞぞ。あ、胸は丁度だ。
もぞぞ、もぞもぞ? ……あれ? そういえばボタンの向きが……あれ!?
あたしはそこで漸くおかしなことに気がついて、動かない腰を無理やり動かしてシーツを退かして起き上がる。
「こ、こ、ここここれはっ!」
身に付けているのは、あたしの体よりもとっても大きくてぶかぶかなシャツ……昨日黒崎君が着ていたシャツ!
「あ、あわわわあたし間違えてっ」
道理で、ボタンの向きが反対だと思った。全部付けた後で気づくあたしは、とっても鈍感なんだと思う。暫くあたふたしていたらまた腰が痛くなって、ベッドへと沈んでしまった。すると、ふわりとした匂いが鼻を擽る。
……あ。黒崎君の匂い。
間違って着てしまった彼のシャツ。彼の匂いに体を包まれて、笑顔を浮かべてしまうあたしは馬鹿な幸せ者だと思う。
黒崎君が起きるまでに脱がなくちゃいけないんだけど。
「……もうちょっとだけ」
この匂いに、包まれていたい。ぎゅっとぶかぶかのシャツごと体を抱き締めて笑っちゃうあたしの顔は、
きっと、最上級に浮かれた顔をしていたに違いない。
―END―
幸せなお花オーラを出している織姫の隣で、
「(うわぁ見てぇ振り向きてぇっけど振り向いたら気付かれるっ)」
みたいに既に起きてる一護が悶々としていたらかなり萌える。
一織、大好きです。 ブラウザバックでお帰りください。